病院・クリニックを開業する際の流れとは? 必要な手続きや準備を確認
地域によりよい医療サービスを提供するためには、身近に病院やクリニックがあることが前提です。
病院・クリニックの開業は届出や手続きも多く複雑です。また、診療に必要な医療機器も高額なため、開業資金も高額になりがちです。
地域の医療を担う一員として病院・クリニックの開業を検討されていても、開業の煩雑さから諦めている医師の方もいるのではないでしょうか。
病院・クリニックを開業する際の流れや、地域に愛される医療機関となるために必要な販促について紹介します。
目次[非表示]
- 1.病院・クリニックを開業する際の流れ
- 1.1.準備フェーズ
- 1.2.実行フェーズ
- 1.2.1.設計・施工する
- 1.2.2.医療機器・設備などを調達する
- 1.2.3.看護師・スタッフを採用する
- 1.2.4.開業の広告・宣伝を行う
- 1.2.5.医薬品などを調達する
- 1.2.6.諸官庁に手続きをする
- 1.2.7.模擬診療を行う
- 2.患者さまを増やすための施策も忘れずに!
- 3.まとめ
病院・クリニックを開業する際の流れ
病院・クリニックの開業は、時間をかけて行うのがおすすめです。開業は大きく分けて開業前の準備のフェーズと実行するフェーズの2つに分かれています。
準備フェーズ
- 方針を検討する
- 物件を決める
- 事業計画を練る
- 開業資金を調達する
実行フェーズ
- 設計・施工する
- 医療機器・設備などを調達する
- 看護師・スタッフを採用する
- 広告・宣伝を行う
- 医薬品などを調達する
- 諸官庁に手続きをする
- 模擬診療を行う
このように、開業までに行う必要があることは膨大です。開業を成功させるためには、それぞれのプロセスの注意点を把握し、一つひとつ進めていくことが大切です。
準備フェーズ
方針を検討する
まず、診療方針を決定します。診療方針は、「どのような医療を提供していくのか」「どのように提供していくのか」を決定します。
この部分が今後の開業までの軸となるため、熟考して決めましょう。たとえば、産婦人科として地域の妊婦さんの出産を助けたいのか、婦人科腫瘍専門医としての経験を生かし、子宮がんなどの早期発見・治療を目指したいのかでターゲットも異なってきます。
自分が医師として何としたいのかを掘り下げ、方針を設定しましょう。
物件を決める
方針が決まったら物件探しです。方針やターゲットによって適した立地は異なります。物件を決める際は、以下をチェックしましょう。
地域の人口・年齢
開業予定地の人口は重要な要素。とくに年齢構成の確認を忘れてはいけません。数年後人口減少が見込まれる地域では、安定して集患することができなくなってしまう恐れがあるためです。
地域でどのような医療が提供されているのかを調べる場合、総務省統計局の『患者調査』を確認するという方法もあります。インターネットで、傷病別の患者数や受療率(外来・入院、都道府県別)などの結果を確認できるため、ニーズを予測するためにも役立ちます。
参考:総務省『患者調査』
近隣の交通機関
この地域の人々の主な交通機関が何かを把握します。徒歩で公共交通機関を利用する人が多い場所なのか、自家用車を利用する人が多いのかなどをチェックします。比較的年配の患者さまの多い診療科の場合は、駅やバス停などが近くにあるとよいでしょう。都心から離れ、多くの人が自家用車を活用している地域では、広々とした駐車場が必要です。
競合の有無
同じ診療圏に、同じ診療科の病院・クリニックがないかも大切です。ただし、近隣にあるからといってすぐに諦める必要はありません。競合となる病院の評判はどうなのかなども確認します。なかには、院長に後継者がおらず廃業予定の病院もあります。地図だけで確かめるだけでなく、実際に確かめることをおすすめします。また、競合の混雑具合も確かめましょう。競合が常に閑散としている状況では、ニーズがなく開業にふさわしくない場所とも考えられます。
一日の人通り
開業予定地が道路に面していても、通勤・通学で人々が利用しない道路かもしれません。朝・昼・夕方の人の移動を確認しましょう。かかりつけ医を持たない人は、移動の途中にある医療機関を受診することもあるでしょう。多くの人の目に触れる場所であることも、物件を選ぶ大切なポイントです。
開業資金を調達する
開業予定地が決まったら事業計画を練り、開業資金を調達します。このフェーズは、開業予定の病院で使用する設備や、工事代金、販促費用などのおおまかな見積りができている状態です。見積りが甘いと、追加で資金が必要になった際に審査がやり直しになります。
実行フェーズ
設計・施工する
方針やコンセプトに合わせてデザインを設計します。最近はバリアフリーにすることが大前提。ターゲット層を考慮して決めましょう。
医療機器・設備などを調達する
診療科目によって必要な医療機器・設備は異なります。CTやレントゲンなど自分の病院に必要な機器を選択しましょう。最近は医療機関のIT化も進んでいます。業務を効率よく行えることにも配慮しましょう。
看護師・スタッフを採用する
開業前ではハローワークは利用できないため、求人広告や求人サイトなどで募集を行うのが一般的です。看護師は患者さまと密接にかかわることが多いため、病院の印象にもつながります。慎重に選びましょう。
開業の広告・宣伝を行う
開業後、安定して集患するためには、広告・宣伝を行う必要があります。
広告・宣伝の方法には以下のような例があります。
- ホームページの作成
- 折込チラシの配布
- 情報誌に掲載
- Web広告やSNSの活用
広告・宣伝を行う場合は、いかにして多くの人の印象に残すかが重要です。ただし、病院・クリニックの広告はガイドラインに沿っていることが必須です。近隣の人々への周知を目指しましょう。
よろしければ以下の記事もご覧ください。
医薬品などを調達する
診療で必要な医薬品や備品などを調達します。院内処方・院外処方によっても必要な医薬品は異なります。製薬会社や医薬品卸会社とミーティングを行って決定しましょう。
諸官庁に手続きをする
病院・クリニックの開業でもっとも煩雑に感じるのは手続きではないでしょうか。手続きの内容は3つの分野に分けられます。
■開業に関する手続き
保健所
- 診療所開設届(個人で開業する場合)
- 診療所開設許可申請書(法人で開業する場合)
- 結核予防法指定医療機関指定申請書
- 被爆者一般疾病医療機関指定申請書
- 診療所使用許可申請書(有床の場合)
- 診療用エックス線装置備付届
- 麻薬管理者・麻薬施用者免許申請書
地方厚生局
- 保険医療機関指定申請書
- 施設基準にかかる届出書
市役所・福祉事務所など
- 生活保護法指定医療機関指定申請書
地区医師会
- 入会申し込み(任意)
労働基準監督署
- 労災保険指定医療機関指定申請書
消防庁
- 防火管理者講習
※診療科目や診療内容によって異なります。
■社会保険に関する手続き
社会保険事務所
- 健康保険・厚生年金保険新規適用届
- 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
- 健康保険被扶養者(異動)届
- 新規適用事業所現況書
■税に関する手続き
- 個人事業の開廃業等届出書
- 所得税の青色申告承認申請書
- 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書兼納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書
- 所得税の棚卸資産の評価方法の届出書
- 減価償却資産の償却方法の届出書
- 青色申告承認申請書
このように多くの手続きが必要です。申請内容について指導が入ることも少なくありません。事前に担当窓口に相談するなどして手戻りを防止しましょう。
模擬診療を行う
「準備が整ったらいよいよ開業」ではありません。受付から診察、検査、会計までの一連の流れを確かめます。スムーズに進められるか、不具合がないかなどを確認しましょう。
患者さまを増やすための施策も忘れずに!
継続して医療サービスを提供していくためには、上記で触れた開業のための広告・宣伝だけでなく、ファンを増やすための施策が必要です。
一度来院してくれた方をファンにするためには、院内での満足度が高まるような院内販促ツールを活用しましょう。
受診する患者さまの多くが体調不良で不安な状態です。待ち時間が長いと不満を感じる方もいらっしゃるでしょう。診察を待っている間を有意義にしてもらうためには、患者さまが求める情報を分かりやすく伝える必要があります。
そこで活躍するのがデジタルサイネージです。デジタルサイネージがあれば、患者さまの呼び出し番号の表示はもちろん、お役立ち情報から公共交通機関の時刻表までお好みのコンテンツを自由に表示することが可能です。また、風景画像やアート画像などの表示もおすすめ。リラックスして過ごしていただくことで、不安な気持ちが和らぐ効果が期待できます。
まとめ
病院・クリニックの開業は、必要な手続きや検討することが多岐に亘ります。しかし、開業してからが本番です。地域で安定して医療サービスを提供し続けていくためには、患者さまに向けた施策を実施しましょう。
地域の人への周知を求めることはもちろん、患者さまに院内でリラックスして過ごしていただけるような院内販促に取り組みましょう。
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患者さまの満足度を高めるためにも、さまざまな使い方ができるLOOOKを検討してみてはいかがでしょうか。