ITツール導入も対象になる? 3つの補助金の概要を解説
新型コロナウイルス感染症対策や落ち込んだ経済の回復のための予算が盛り込まれた令和2年度第3次補正予算案。2021年1月28日の参院本会議で可決し成立しました。
中小企業向けの施策として生産性革命推進事業の『ものづくり補助金』『持続化補助金』『IT導入補助金』には、新たに特別枠が設けられ、一次および二次補正で設置された特別枠が『低感染リスク型ビジネス枠』として改編されることとなりました。
本記事では、低感染リスク型ビジネス枠の概要を解説します。
※2021年1月29日時点の情報のため、条件等が変更される可能性もあります。
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低感染リスク型ビジネス枠とは
新型コロナウイルス感染症の流行で営業時間の短縮や休業を余儀なくされ、経営に打撃を受けたという企業は少なくありません。
感染拡大を抑えながら経済を回していくためには、中小企業の経済構造を転換させ、循環がよくなるようにすることが不可欠。
もともと、生産性革命推進事業にはものづくり補助金・小規模事業者持続化補助金・IT導入補助金の3つがあり、一次および二次補正でポストコロナ社会という現在の状況に対応したビジネスモデルへの転換に向けた中小企業等の取組みを支援するため、特別枠が設けられていました。
今回、この特別枠が新特別枠として、低感染リスク型ビジネス枠に改編されたのです。
予算額は2,300億円、通常枠とは別枠で拡充されます。
現行の特別枠の募集は、2020年12月に終了しており、新特別枠のスケジュールについては、今後発表予定となっています。
出典:経済産業省『令和2年度第3次補正予算の事業概要 (PR資料)令和3年1⽉』
ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス⽣産性向上促進事業)
ものづくり補助金の補助額は100万〜1,000万円、補助率は2/3となっています。
以下のような悩みを抱えた企業に適した補助金です。
- 工場のラインを増やしたい
- 新製品を開発したい
物理的な対人接触の機会が減少したことをカバーする革新的な製品やサービスの開発、システム構築などに活用できます。
出典:経済産業省・中小企業庁・独立行政法人中小企業基盤整備機構『「ものづくり・商業・サービス補助金」が さらに使いやすくなりました』
小規模事業者持続化補助金(⼩規模事業者持続的発展⽀援事業)
小規模事業者持続化補助金の補助額は100万円、補助率は3/4となっています。
以下のような悩みを抱えた企業に適した補助金です。
- 自社の商品・サービスを宣伝したい
- 販路を開拓したい
- ブランド力を高めたい
ポストコロナ社会のビジネスモデルへ転換のために、オンライン化のためのツール・システムを導入したりECサイトを構築したりするときなどに活用できます。
出典:経済産業省・中小企業庁・独立行政法人中小企業基盤整備機構『ブランド力を高めたい 商品を宣伝したい HPを開設したい』
IT導入補助金(サービス等⽣産性向上IT導⼊⽀援事業⾦)
IT導入補助金の補助額は30万〜450万円※1、補助率は2/3となっています。
IT導入補助金は、通常枠と特別枠に分類され、通常枠がA類型とB類型、特別枠が低感染リスク型ビジネス類型(C類型)、テレワーク対応類型(D類型となっています。
※1・・・テレワーク対応類型は補助上限150万円
以下のような悩みを抱えた企業に適した補助金です。
- ITを使って業務を効率化したい
- ITで働き方改革を推進したい
- 会社全体のデジタルトランスフォーメーションを進めたい
複数の業務工程を広範囲にわたって非対面で行えるようにできるITツールの導入や、生産性向上につながるソフトウェアやクラウドの利用費、パソコンやタブレットのレンタル代などに活用できます。
出典:経済産業省・中小企業庁・独立行政法人中小企業基盤整備機構『✓ IT導入補助金 経営状況を「見える化」したい 業務を自動化したい 働き方を改革したい』
補助金で導入できるITツールの要件は?
今回拡充された3つの補助金は新型コロナウイルスの感染拡大防止や、経済の回復に向けた取組みを推進させるのが目的です。
感染拡大に注意し、売り上げアップを目指していくためには生産性向上が不可欠。まずはIT導入補助金を活用して身近な業務をIT化してはいかがでしょうか。業務効率化することで生産性向上を実現します。
IT導入補助金で導入できるツールは以下の要件から成り立っています。
ソフトウェア(業務プロセス・業務環境)
顧客対応・販売支援
決済・債権債務・資金回収管理
調達・供給・在庫・物流
業種固有プロセス
会計・財務・資産・経営
総務・人事・給与・労務・教育訓練
生産性の向上もしくは業務効率化できる機能を有しているソフトウェアが対象です 。6つの業務プロセスのうちいずれか1つ以上を担っている必要があります。
ソフトウェア(オプション)
- 自動化・分析ツール
- 汎用ツール
- 機能拡張
- データ連携ツール
- セキュリティ
データ分析や機能拡張など、ソフトウェアを導入することで必要になったオプションやセキュリティなども対象です。
役務(付帯サービスの提供)
- 導入コンサルティング
- 導入設定・マニュアル作成・導入研修
- 保守サポート
- ハードウェアレンタル
ソフトウェア導入に付帯するサービスやサポート、パソコンやタブレットといったハードウェアのレンタルも対象です。
具体的には、以下のようなツールが挙げられます。
- PRA(Robotic Process Automation:ロボットによるプロセスの自動化ツール)
- 会計・給与計算システム
- Web会議ツール
- デジタルサイネージ
審査や一定の条件はありますが、交付決定前に契約・導入した費用も補助金として認められます。
また、これらのITツールはIT導入支援業者として登録し、認定を受けた事業者の製品のみが補助の対象です。ITツールの導入を検討する際は事前に相談して確認しましょう。
出典:一般社団法人サービスデザイン推進協議会『特別枠(C類型)』『ITツール活用事例 | 中小企業・小規模事業者のみなさま』
まとめ
令和2年度第3次補正予算案で拡充され、改編された低感染リスク型ビジネス枠は、中小企業の生産性向上を支援するのが目的です。新型コロナウイルス感染症の影響で打撃を受けた企業も多く、いまを乗り切るためにビジネスモデルを転換したくても資金面に余裕がないという中小企業の助けになるといえます。
「生産性を向上したい」「コロナに打ち勝つ施策を実施したい」とお考えの中小企業の事業者さまは、補助金の活用を視野にいれてみてはいかがでしょうか。
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